警察から「次は検察から連絡があります」と言われた後に連絡がないとき|不起訴処分の可能性と検察官への確認手続き

1.警察の捜査終了後に長期間連絡がない状況の背景と実態

警察での取調べを終え、「今後は検察から呼び出しがあると思います」と告げられたまま、数ヶ月以上も音沙汰がない状況に置かれることがあります。一般の方々にとっては、日々の生活において大きな不安を感じ続けることになります。いつ電話が鳴るか、いつ呼び出しの手紙が届くか分からないまま日常を送ることは、精神的な負担が大きいです。このような空白期間が生じる理由には、刑事手続き上のいくつかの実務的な事情が関係しています。

警察から検察へ事件が送致された後、検察官は警察が収集した証拠記録を精査し、追加の捜査が必要か、あるいは起訴や不起訴といった終局処分を下すかを判断します。しかし、被疑者が逮捕・勾留されていない身体拘束のない事案(在宅事件)においては、逮捕されている身柄事件のような厳格な時間的制限がありません(刑事訴訟法第208条)。そのため、複雑な証拠関係の精査が必要な事案や、担当検察官が多くの事件を抱えている状況下では、結論を出すまでに数ヶ月から場合によっては一年以上の時間を要することも珍しくありません。

また、すでに検察官の内部で「不起訴」という結論に至っているにもかかわらず、それが被疑者に伝わっていないだけという状況も十分に考えられます。待っていれば連絡が来ると考えるかもしれませんが、不起訴処分となったとしても、検察庁から被疑者に対して自動的にその旨を知らせる通知が発送されることはありません。結果として、被疑者は事件がどうなっているのか分からないまま、ただ不安な日々を長期間過ごすこともありえます。

2.不起訴処分の成立と被疑者に対する告知制度の仕組み

事件が不起訴処分となった場合、それは刑事手続きが終了し、当該事件について刑事裁判にかけられることや前科がつくことがなくなったことを意味します。この決定について、被疑者本人が確認するための法的な仕組みが用意されています。検察官は、公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者から請求があったときは、速やかにその旨を告げなければならないと規定されています(刑事訴訟法第259条)。

つまり、被疑者側から検察庁へ問い合わせを行えば、不起訴処分が下されている事実を知ることができるのです。この確認は、口頭での回答にとどまらず、不起訴処分告知書という書面の交付を求めることも可能です。書面を手元に残すことで、不起訴処分がされたことを確認することができ、平穏を取り戻すことができます。

ただし、ここで注意すべき点は、告知される内容はあくまで「不起訴処分」という結論のみであるということです。起訴猶予、嫌疑不十分、罪とならずといった具体的な理由についてまで、被疑者に対して詳細に説明する義務は検察官には課されていません。法律上、被疑者に対する不起訴理由の開示までは義務付けられていないため、窓口や電話で理由を尋ねても回答は得られません。それでも、刑事手続きが終結したという事実を確認できる意義は大きなものです。

3.検察庁への問い合わせによって生じる不利益の有無と藪蛇への懸念

自ら検察庁に連絡を入れれば不起訴の事実を確認できる可能性がある一方で、「自分から連絡をすることで、忘れられていた事件が掘り起こされ、結果的に不利な方向に進むのではないか」と躊躇する方は少なくありません。いわゆる「藪蛇になる」ことを恐れ、不安定な状態に耐え続けることを選択する心理が働くのは自然なことです。

しかし、刑事事件の手続きにおいて、事件が検察庁の中で忘れられたまま放置され、そのまま消滅するということはあり得ません。送致された事件は必ず厳重に管理されており、時間がかかったとしても、いずれ担当検察官によって起訴か不起訴かの終局的な結論が出されます。被疑者側から問い合わせを行うことが、検察官の感情を害して不当に起訴へ傾かせるといった不利益を生じさせることはありません。

他方で、長期間保留されていた事案について問い合わせがあったことで、検察官が後回しにしていた記録の確認や必要な捜査を再開し、結論に向けた手続きが進む契機になることは十分に考えられます。これはいずれ必ず行われるべき本来の捜査手続きが進行したというに過ぎず、問い合わせをしたこと自体が新たな不利益を生じさせたわけではありません。プロセスが早まることで、いつ呼び出されるか分からないという終わりの見えない恐怖から抜け出すための道筋をつけることができます。

4.被害者と被疑者における不起訴処分の理由開示の差異

なお、不起訴処分の告知について、被疑者と被害者とでは取り扱いに明確な違いが存在します。被疑者には不起訴の結論のみが告知されるのに対し、被害者や告訴人等の立場にある者には、より踏み込んだ情報提供がなされる仕組みになっています。

検察官は、告訴、告発または請求のあった事件について、起訴または不起訴の処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人等に通知しなければなりません(刑事訴訟法第261条)。さらに、告訴人等から請求があった場合には、不起訴とした理由についても告げなければならないとされています(刑事訴訟法第261条の2)。ここで被害者等に開示される理由とは、起訴猶予、嫌疑不十分、被疑者死亡といった具体的な処分区分を指します。被害者感情への配慮や、民事上の損害賠償請求等の手続きを見据えた情報提供の観点から、このような権利が認められているといえます。

もっとも、被害者に対しても、どのような証拠が重視されたか、あるいは取調べで被疑者がどのように供述していたかといった、具体的な証拠関係や詳細な捜査の内部事情までが克明に教えられるわけではありません。被害者といえど何でも知れるのではなく、関係者のプライバシー保護との間でバランスが図られた運用がなされています。被疑者の立場からは、自分には理由が明かされないのに被害者には教えられることに戸惑いを覚えるかもしれませんが、これは法律の規定に基づく厳格な区別によるものです。

ただし、被害者等に対しては、客観的な記録については、開示される可能性はあります。また、供述調書についても、民事訴訟における文書送付嘱託により開示されることがあります。

5.今後の見通しを明確にし不安定な状態から抜け出すための対応

いつ検察から呼び出されるか分からない状態のまま日常を送ることは、仕事や家庭生活にも深刻な影響を及ぼします。精神的な疲弊を防ぎ、今後の生活設計を立て直すためには、現在の状況を正確に把握する必要があります。

すでに警察での取調べから相当の期間が経過している場合、まずは担当の検察庁に、事件の進捗や処分の結果について問い合わせを行うのが現実的な対応です。被疑者本人が自ら検察庁の担当部署に電話をかけ、状況を確認することは手続き上何ら問題ありません。連絡をした時点で既に不起訴となっていれば、その場で不安は解消されますし、まだ捜査中であれば、検察官の呼び出しを待つ心構えができます。

もし、刑事手続きの過程で弁護人を選任しちえるのであれば、本人が直接連絡を取る必要はなく、弁護人を通じて進捗確認や不起訴処分告知書の請求を行うことができます。弁護人を介することで、検察官側からより客観的な現在の状況や今後の見通しについて情報を得られることもあります。

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