連帯保証人を頼まれた際に考えること|「形だけ」の約束が招く結末と解除の困難さ

1.連帯保証人が負う債務者と同等の法的な支払い義務

親族や友人、もしかすると取引先から連帯保証人になってほしいと頼まれる場面は、あるかもしれません。その際、理解しておかなければならないのは、連帯保証人は法的に主たる債務者とほぼ同等の責任を負うということです。

単なる保証人と連帯保証人には、法律上明確な違いが存在します。通常の保証人であれば、債権者から請求を受けた際に、まずは本来の債務者に請求するよう求める権利や、債務者の財産を先に差し押さえるよう求める権利が認められています(それでも保証人の責任も軽視すべきものではありませんが)。しかし、連帯保証人にはこれらの権利が一切与えられていません(民法第454条)。

つまり、債権者から「お金を払ってほしい」と言われた場合、「まずは本人に請求してくれ」と拒否することはできず、直ちに支払いに応じなければならない立場に立たされます。借金をした本人と同じ立場でお金を借りたことになると表現しても過言ではありません。自分自身はお金を一円も受け取っていないにもかかわらず、全額の返済義務だけを背負うのが連帯保証という制度なのです。

2.「迷惑はかけない」「形だけ」という言葉の罠と求償権の現実

連帯保証人を頼んでくる人は、「絶対に迷惑はかけない」「審査を通すための形だけだから」「事業が軌道に乗ればすぐに外すから」といった言葉を口にすることがあります。親しい間柄であればあるほど、その言葉を信じて署名押印をしてしまう方もいるでしょう。しかし、これらの言葉は債権者との関係においては全く意味を持ちません。

お金を貸す側である金融機関や不動産の賃貸人にとっては、債務者と連帯保証人の間の約束は何も関係がありません。債務者が支払いを滞らせた場合、債権者は容赦なく連帯保証人に請求を行います。

連帯保証人が代わりに借金を返済した場合、その支払った分を本来の債務者に請求する権利が発生します。これを求償権と呼びます(民法第459条)。しかし、現実問題として、債権者への支払いができなくなった債務者が、連帯保証人からの求償に応じられるだけの資金を持っていることはほぼありません。将来的に債務者の生活が立て直され、資力が回復した後に少しずつ返してもらうという可能性は否定できませんが、それが実現する保証はどこにもなく、非常に稀な事象だと言わざるを得ません。実質的には、連帯保証人が支払ったお金はそのまま全額の損失になる覚悟が必要となります。

3.債務者が自己破産したときに連帯保証の効力が発揮される理由

連帯保証人の方から寄せられる相談の中で多い誤解が、「主たる債務者が自己破産をしたのだから、連帯保証人である自分の支払い義務も消滅するのではないか」というものです。債務者が破産するという異常事態に陥ったのだから、連帯保証契約も白紙に戻して連帯保証人から外れたいと考えるお気持ちは理解できます。しかし、法律上はそのような解釈は認められません。

主たる債務者が免責許可決定を受けて借金の支払い義務を免除されたとしても、連帯保証人の支払い義務には一切影響を及ぼさないことが法律で明確に定められています(破産法第253条第2項)。むしろ、債権者は、債務者が支払えず破産したときのために、あらかじめ連帯保証人を立てさせているのです。債務者が自己破産をした瞬間こそが、連帯保証契約がその真の本領を発揮する場面だと言えます。

さらに過酷なのは、連帯保証人が代わりに全額を支払ったとしても、債務者が自己破産をして免責を受けてしまえば、先述した求償権すらも破産債権として免責の対象となり、一切の請求ができなくなってしまうことです。連帯保証人から見ればまさに支払いの丸損となりますが、それが連帯保証という制度になります。

4.人間関係の解消や決裂を理由とする連帯保証契約からの離脱の可否

連帯保証の契約を結んだ後に、前提となっていた人間関係が大きく変わることは珍しくありません。例えば、夫婦であった二人が離婚することになった、会社の役員を務めていたが退任して縁を切ることになった、あるいは友人関係が完全に決裂したといった状況です。このような関係性の変動を理由に、「もう他人なのだから連帯保証人を外れたい」というご要望は当然です。しかし、連帯保証契約は、債権者と連帯保証人の間で結ばれる契約です。したがって、連帯保証人から外れるためには、契約の相手方である債権者の承諾が必要です。

債権者からすれば、債務者と連帯保証人がどのような人間関係にあろうと、貸したお金を確実に回収できればそれでよく、二人の関係が悪化したからといって連帯保証人を外してあげる義理はありません。むしろ、当事者間の関係性が悪化し、債務者が無責任な行動に出るリスクが高まった状況においてこそ、債権者は確実な回収先として連帯保証人を手放そうとはしないのが現実です。人間関係が終わったからといって、それに伴って法的な保証責任が自動的に消滅することはないのです。

5.連帯保証人を外れるための極めて限定的な代替手段

では、一度なってしまった連帯保証人から外れることは完全に不可能かと言えば、交渉の余地は存在します。前述のように債権者の承諾が必要となるため、債権者が「この条件なら連帯保証人を外しても構わない」と納得するだけの代替案を提示しなければなりません。

一般的な方法は、現在の連帯保証人に代わる別の人物を新たな連帯保証人とすることです。ただし、その新たな連帯保証人は誰でも良いわけではありません。会社の代表者として会社の債務を連帯保証しているような場合には、代表者の交代で連帯保証も交代するということはあり得ますが、通常は、少なくとも現在の連帯保証人と同等以上の資力や安定した収入を持っている人物でなければ、債権者は交代を認めません。現状の生活に余裕のある人物が、何のメリットもない他人の借金の連帯保証人を引き受けてくれる可能性は低く、代わりの人物を見つけること自体が至難の業です。別の人物を立てられない場合、不動産などの十分な価値のある担保を新たに提供することで、債権者と交渉することが考えられます。これもまた、債務者側にそれだけの余剰資産がなければ実現不可能な方法です。

最終的には債権者の経営判断に委ねられるため、どれほど情状を訴えても承諾が得られないことは多々あります。連帯保証人になることには、経済的なメリットは一切存在しません。他人の債務のために自分の財産を失うリスクだけを背負う行為であり、依頼された際にはその重大な法的責任を直視し、極めて慎重に判断する必要があります。